漫画
入江喜和先生の「たそがれたかこ」という漫画が大変良かったのでその感想を書きます。 主人公の片岡隆子は45歳バツイチの女性で、アパートの大家をしている母と二人暮しをしています。日中は食堂でサラダなんかを作るパートに出ていて、家に帰ってからは老い…
『モッシュピット』という漫画が大変面白くて好きなのでその話をするのと、漫画の中で演奏される音楽について、思っていることなどを書きます。 『モッシュピット』という漫画 『モッシュピット』は自分に生き方に疑問を抱いていた主人公たちが音楽と出会っ…
日々生きていくうえでは、周りからくるさまざまな頼み事もいちいち断るのが面倒だったり相手の意志を確認するのが面倒だったり、中身を精査するのが面倒だったりで、何となく引き受けてしまう事が多いです。その少しの面倒くさがりのせいで、依頼の中に含ま…
他人がどれだけ物事を真剣に考えているかって、なかなか伝わってこないですよね。どれだけやる気があっても、その先に待ち構える困難問題を乗り越えられる気力・覚悟を持っているのか。他人からすればそれらは全て、結果からしか判断できないものだと思いま…
安田弘之先生の漫画『寿司ガール』は、寿司が擬人化する話です。 寿司ガールとはその名の通り、寿司ネタが擬人化した存在です。大きさは手乗りサイズで頭には生の寿司ネタを乗せている妖精のような存在です。しかし、その本質はやはり一貫の寿司であり、その…
猫がそこそこ好きなのですが、飼い猫は当然のこと野良猫と出くわした時にも同じように可愛いものを愛でる感覚で彼らに近づき、多少威嚇されても可愛いもんだと、彼らの生きる世界の険しさや飼い猫とは違う野生を見過ごしていたように思うのです。 飼い猫に抱…
少年サンデーで今連載中の漫画『DREA-MER~ドリー・マー~』を出しに、一人称に対する自分の考えを書きます。 一人称って難しい 一人称を自分の中で規定するのってすごい難しいことだと思うんですよ。自分のことを、自分で称するってわけわからん行為だと思…
他人と経験・時間を共有するには、いろいろと限界があるなーと感じています。最近読んだ漫画を出しに、その辺のことを書きます。 『たそがれメモランダム』の経験と思い出 月刊スピリッツに連載されている『たそがれメモランダム』は高校生の主人公が放課後…
柳本光晴先生の『女の子が死ぬ話』は、病弱な薄幸の美少女が高校進学と同時に余命宣告を受けながらも友人にそのことを隠し続け、弱っていく姿を誰にも見られないよう、綺麗な女の子として皆の思い出の中で生きていけるよう、一人で死ぬ話です。 メインの登場…
吉田聡先生の『七月の骨』は、作者のデビュー前の体験をもとに創作された架空の若者・時田サトシくんが漫画家を目指して悪戦苦闘するさまを描いた漫画です。 この漫画は『湘南爆走族』を作った人間の成功劇ではなく、また何かを作る人の楽しさ・熱さを描いた…
サガノヘルマー先生の『BLACK BRAIN』は、肉体を改造し人を超越することに成功した「邪進化人類」と、ヒトの子孫である未来人類ヒテロ・サピエンスたちの戦い、それに挟まれる普通の人間の物語です。 ヒテロサピエンスのエージェント・アガサ森田は、邪進化…
漫画やアニメでは中盤につかの間の休息として、戦いから解放された登場人物たちの素顔が見れる日常回ってやつがよくありますよね。ファンタジーやSFもので常に重苦しい表情を浮かべている登場人物の安らいだ姿、楽しそうにしている様子を見るのはとても楽し…
6つ目です。 ナンバーオブザビースト ゲッサン「雨追さん家に行ってみた。」鳴海アミヤ ヤクザの下部組織の下っ端中の下っ端さんがゴミを山中に不法投棄していると、2メートルはあろう戸愚呂弟体型の男性・雨追さんにつかまり「ごみを持ち帰ってください」…
5つ目です。 妊娠モノが多いです。 モーニング「おっぱいありがとう」田島列島 赤ちゃんの頃は男も女もおっぱい好きだったのに、大人になったら女は女のおっぱい吸えないんですよ男は吸えるのに 田島列島先生はこの読切群の後『こどもはわかってあげない』…
4つ目です。デスピサロ モーニング「アオダモソウル」松崎真風 「アオダモソウル」は毎話一つのポジションに焦点を当てて、そのポジションでの最高のパフォーマンスに全てを賭けるプレイヤーの熱い戦いを描いた、全4話の野球読切です。ピックアップされるポ…
三つ目、三只眼吽迦羅。 ジャンプSQ「恋は盲目」藤本タツキ 熱血な生徒会長が熱血な副会長と一緒に下校して告白するまでを31ページにわたって描いている、という読切です。 キャラクターデザインはカプコンの私立ジャスティス学園のようで、ギャグのテンポや…
二つ目の記事です。 アフタヌーン6月号「再来」門野民緒 因習めいた山奥の村に伝わる、山の神を崇める祭りが22年ぶりに開かれる。祭りの夜には住民は家にこもり、山の神が迷わず目的地の神社へと向かえるよう塀で道を作る。腹を空かせて山を下りてきた神に…
この記事は、今年私が出会った読切を、新人作家さんを、あるいは見知った作家さんとの紙面での再会を記録する、備忘録記事です。 順番は私が読み直した順なので、めっちゃんくっちゃんです。 週刊漫画Times「いつかみんなでピクニック」甲乃称太 16歳の冬に…
社会性を失った映画オタク白川さんの話 『ケンガイ』という漫画は映画を見ること以外、衣食住も人間関係も恋愛も全く興味を示さない女性・白川さんと、そんな白川さんのことが好きになってしまった普通のイケメン・伊賀くんが仲良くなれそうでなれない、難攻…
吉野家で牛丼を食べる方法は人それぞれで、つゆダク温玉クチャラーもいれば、1時間ぐらいかけてゆっくりもしゃもしゃ食う爺さんもいます。ゆえに、「吉野家の牛丼を食べる音」を一般的なものとしてテンプレ化することはできません。 物を食べる時には必ず音…
肉薄する少女の存在感 ヤマシタトモコ先生の絵は女性向け漫画らしい細く、強く主張しない感じの線で描かれています。しかしこの『運命の女の子』に収録されている『無敵』という短編、そこに出てくる一人の女子高校生の存在感が、その線の細さと不釣り合いな…